
十六夜の空を見て在りし日の光景に思いを馳せる。




ひーちゃんを手に入れる為の筋書きに邁進するアイルの底知れなさや不穏な言動も相まって、シリアスなところはシリアスなんだけど、まほプリ本来のほのぼのとした空気やみらいやリコの言動もあって、シリアスだけに寄らない絶妙な塩梅が心地よい。かくいうアイルにしてもどこか世俗的でとぼけたところがあり、明確な敵意を向けているわけでもないところが、その印象に拍車をかけている。
また全てがアイルの予言通りに事が運び万能な未来視の如き力を自由自在に操っているかと思いきや、彼自信にも全てをコントロールできるわけではなく、あくまでみらいとリコに自分と同じく確定している過去と不確定な未来を視る力を分け与えているのもあって、色々な制約の下に動いているのはプリキュア側と同じというのも大きい。
とは言っても自分の意思で時間に干渉して未来で知った事象を過去の人物に伝達できるだけでも十分反則なんだけど。本来は不確定であるはずの未来ですが、それを「確定した過去」として未来の自分が過去の自分に伝達することで、それは確定した未来の物語という筋書きとして紡ぎ出されていく。みらいとリコが予期せぬ過去と未来の情景に振り回されているからこそ、その筋書きも映えるのではなかろうか。
時間がテーマにある本作なので今回も時間経過を感じさせる要素や、確定した在りし日の光景が随所に見受けられたのも印象的で。変わらない朝日奈家の面々やリコやはーちゃんの部屋、十六夜の空に思いを馳せ今も特別な思い入れがあることを感じさせるみらいの姿。そんな変わらない光景がある一方で、突如として成長したひーちゃんや、かの子お婆ちゃんの肉体的な衰えを感じさせる描写等々。
確定した過去を印象付ける見せ方をしながらも、それらは不変ではなくその中で確実に生じている変化を感じさせる描写はやはり見逃せない。どうせ見るなら違う過去が良かったとはアイルの言葉であるが、不確定であるのは本当に未来の事象だけなのか。時間に干渉出来るアイルが相手だからこそ、今後そこが揺らぐようなことはあるのかと一抹の不安が生じるところもある。
でも基本はやっぱり楽しいまほプリの雰囲気が根底にあるので、そこは大丈夫なのだとも思えます。今回も主にスマホ周りで往年のうっかりを発動させていたリコだったり、魔法ガールの制服を柔軟剤が悪かったのか選択で縮めさせていたみらいだったり。戦闘中の掛け合いにしてもコミカルさを損なわない軽快さが見て取れたので。やっぱりこういうまほプリらしさが自分は好きなんだと改めて思えました。
ともあれ無事に再会を果たしまた一緒に暮らせることになったリコと、まだ見ぬはーちゃんに思いを馳せるみらいがいるのと同様に、かつての自分が映る写真に思いを馳せるアイルがいる。彼が真に欲するものは未来のあるのか。それとも今や過ぎ去り確定したはずの過去にあるのか。みらい達プリキュア側とアイルの双方の過去と未来に対する思い入れが垣間見える回でした。






まほプリの数多あるスタイルの中でも、とりわけ可愛さに特化しているイメージがあるトパーズスタイルもお目見え!基本の四つのスタイルの中でも一番魔法少女の王道を行く感じもあるトパーズの衣装や、色々なギミックを交えて戦う戦闘スタイルは、ポップな印象も相まって純粋に見ていて楽しいしワクワクしてしまう。トパーズスタイルだからこその今回の戦闘中の掛け合いだったとも言えるだろうか。
その軽快な印象があるが故に物理的な破壊力を感じさせるトパーズ・エスペランサの荒々しさも際立つというもので。前作で見た時の印象そのままに懐かしさが込み上げてくる今回のトパーズスタイルでありました。










今回も色々なことがあったけどリコのスマホ周りの描写は往年の彼女のイメージを想起させてくれて見ていてニマニマしてしまいました。契約時に住所に魔法界と書こうとする正直さや、不慣れだったこともあるけどスマホをうっかり置き忘れてアイルに利用されてしまったり。この生真面目さやうっかりするところは、如何にもリコという感じがして個人的にも嬉しく感じたところです。
それは日常パートに留まらず戦闘中であろうと同様で。漢字が読めないモフルンとスマホの操作が分からないリコの可愛らしさは溜まらないものがありました。そして、それを全力でフォローするみらいと在りし日の家族の形をここで見た思いでいっぱい。頼もしいリコ先生もナシマホウ界に来れば十六夜リコに立ち返る。この関係性がいつまでも続いてほしいと思えるほどです。






個人的に今回一番ジーンと来てしまったのが、みらいが自室の窓にカーテンをしていないことを語ってくれたところでした。一度は完全な別離を経験したみらいとリコが、今こうして同じベッドに腰掛けて語らう。それだけでも尊く味わい深いのに、月明かりに照らされた部屋の中で在りし日のみらいは何を願い、大切な人たちに思いを馳せていたのかと知ったらもうね。
リコとはーちゃんがいつ戻ってきても良いように。十六夜の日にまた会えるというリコの言葉を信じて。いつ彼女たちが戻ってきても直ぐに見つけられるように部屋のカーテンをすることもなく。魔法を失い動けなくなったモフルンを傍に置きながらも一人ずっと思い続けていたみらいの胸中を思うだけで感情が込み上げてきてしまうのです。
まほプリ49話終盤でリコ達に再会するまでの空白の期間。みらいがずっとカーテンのない窓から十六夜の空を見ながら過ごしていたと思うとね。それだけでもう感無量というものですよ。正直これが見られただけでも続編をやった甲斐があるなと。そう言っても決して過言ではないだろう。尊さで溢れる。