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わんだふるぷりきゅあ! 第46話 「メェェェリィクリスマス!」 感想

わんだふるぷりきゅあ! 第46話 「メェェェリィクリスマス!」 感想

きらめく世界、悪くない。

かつては冷たく降りしきる雪の中で、一人ぼっちで寒さに打ち震え孤独に苛まれていたユキが、皆と一緒に見る雪景色やクリスマスが紡ぐ他者との繋がりや街並みを彩る明かり等を通じて、ユキの心の有り様が如何に大きく変わって世界の見え方が様変わりしたのか。心に温かみが灯るのと同時にユキの内面的精神的成長がこれでもかというくらい伝わってくるクリスマス回で素晴らしいの一言に尽きる。

サブタイトルを見てもどちらかというとネタ寄りな回で、皆と和気あいあいと過ごしつつも騒がしい内容になるのかと思っていたのですが、その実はユキの繊細な内面の変化を微に入り細を穿つ形で描ききっており、物語開始当初の彼女と今の彼女がどう変わったのか。ユキの中での他者との関わり方や、彼女の見る世界の捉え方がどのように変化したのかを雄弁に物語る見せ方に魅せられてしまうのです。

大好きで大切なまゆ以外のことはどうなろうと知ったことではない。極めて限定的な他者との繋がりと閉ざされたコミュニティ。それで良しとしていたのが当初のユキのスタンスでしたが、そこからの変化と成長をした今のユキの思考と目線で以て、同じくガオウ様を信奉し狼達の群れという極めて限定的な立ち位置で世界を見るザクロを気にかけて繋がりを持つべく寄り添う姿勢を見せてくれる。

これもユキの生い立ちとそこからの他者との繋がり。それによって生じた変化があればこその接点の持ち方であると思います。その表れとして今回はユキの方から自主的に、且つ積極的に他者と関わりを持とうとするシーンが非常に多く、これもその印象をより高めてくれているところがあるのではなかろうかと。先述したザクロを気に掛け対話を持ちかけるのも然り。

他にも大切なまゆが直接関わらない猫集会に自ら赴き、そこにこむぎを連れ立って行くところにも、その姿勢は表れていたと思うしキラリンアニマルのことを気遣ってくれたのもそうですよね。本当にまゆが全てでまゆが命。他の者がどうなろうと知ったことではなく何なら自分たちに関わって欲しくないと拒絶の姿勢すら見せていたかつてのユキは、今こうして他者と関わり見える世界が様変わりしたのである。

そして、その変化は日常パートのみならずキュアニャミーとして立つ彼女の姿にも如実に表れている。当初はプリキュアとしての使命なども知ったことではなく、まゆと自分を傷つけ脅威になるものに徹底的に抗戦し、傷つけることすら厭わずに孤高に立ち向かっていたニャミーが、今はガオガオーンとなった者に慈愛の精神を向けるし、仲間の力を頼るようになりリリアンの危機をフレンディやワンダフルに預ける程に信頼を置いている。

その心情的な変化とユキが見ている世界の見え方の変わりよう。それらが見て取れるからザクロに向ける言葉と気持ちが心に染みるし、心の有り様が変われば世界も変わるを体現するユキ/ニャミーだからこそ伝えられることがあるんだなと思えるのです。

きらめく世界、悪くない。かつては孤独と寂しさを象徴する雪景色が、ユキの中で皆と一緒に見る心温まる景色に変化したのも素敵でしたし、リリアン回のそれと同じく今回のニャミーも変身口上や決め台詞を体現する存在になってくれたことが伝わってきたし、それらをテーマや物語の中に落とし込んでくる構成。見せ方は良いものだと改めて思わせてくれました。予想以上に心温まる内容で見ているこっちも幸せいっぱい!なのです。

最初は犬組の二人に近づいちゃ駄目とまゆに警告したり、戯れてくるこむぎを邪険に扱っていたあのユキちゃん様がですよ。こむぎから向けられる親愛の気持ちを真正面から素直に受け止め、満更でもない様子で受け容れているところが愛おしく尊くてお腹いっぱいになってしまうのです。こんな光景を見られる日が来るなんて当初は夢にも思ってなかったので遂にここまでの仲になったのかと。万感の思いが込み上げてくる。

最近はこむぎ相手に割と優しい対応してたり甘々なところを見せてくれたりしていましたが、猫の集いにこむぎを招き入れて、他の猫友たちがいる前で「わたしの友達」とハッキリ言ってくれたことが嬉しい。プリキュア同士でも最初は相容れない相手として一線を引いていたユキが、内面的にも対外的にもこむぎは大切な存在で友達であることを示してくれたのだから喜びもひとしおというものです。

人と動物だけではなく動物と動物においても異なる種族同士で通じ合い心を通わせることはできる。こむぎとユキが身を以てそれを体現してくれていて素晴らしい。今では敵対関係にある狼たちですが、そんな彼らともいつかこうなれる日が来ることを夢見て。夢ではなく現実にする為に二人には頑張って欲しい。

クリスマス回ではあるものの今回はユキの内面的な成長と変化に焦点が当てられる構成になっていたと思いますが、公式カップリングが成立したわんぷりなので恋人同士となった悟といろはのですね。あれやこれといった描写も外すことなくやってくれるところに安心するし無限の信頼を置いてしまう。これも青春であり心温まる一幕なのである。

悟がプレゼントしたこむぎモチーフのチャームなんかは事によっては最終盤で彼女の危機を救うようなキーアイテムになったりするのかなと思えなくもないのですが…。まぁそれは本題ではないのでここでは置いておきましょう。それぞれのことを思って用意したプレゼントと相手に向けた気持ち。それが伝わって何よりなのです。いろはちゃんも大変なことがあったけど今回は幸せな気持ちになれて本当に良かった。

相も変わらぬ様子で二人のやり取りを空気を読みつつ鑑賞し楽しんでいた猫屋敷まゆさんの安定感抜群の行動に関しては、あまりにもいつものことすぎるので今回は触れないでおこう!触れてるけど!