嬉し恥ずかし尊死必至な悟といろはの初デート回!
プリキュアのテレビシリーズ本編の中で、レギュラープリキュアを務めるキャラに特定のお相手ができる。端的に言えば正式な恋人関係が成立しただけでも驚きだったのに、その後の初デートの様子を克明に描き出してくれることがまた驚きで。悟といろはの関係性の変化によって生じる微細な心模様の変遷。そんな二人の様子を温かく、時に入れ込みすぎな程に見守る側の、まゆやメエメエの精神的内面的な変化と成長。
悶絶必至な悟といろはのピュアな掛け合いや心の機微に触れるシーンの数々。周りで賑やかし要員として暴走しているまゆやメエメエの突飛且つ過激な言動に目を奪われてしまいがちですが、今回は恋人という一定のラインに至った悟といろはの変化。そして二人のために初期の頃では考えられない言動を見せていたまゆとメエメエの葛藤と奮闘。これが一つ見どころだったのではないかと思うわけです。
もちろん悟といろはの恋模様や初デートの様子を見て、視聴者の如く尊死しているまゆだったり、妄想が爆発して珍妙な格好をして二人を付け回し、あわよくば割って入ろうと妨害工作を仕掛けているメエメエのギャグ的な要素等々。それはそれで面白くて見応えもあったのですが、本当に大切なところは物語初期とは異なる各々の精神的な成長と変化にあると個人的には思った次第です。
引っ込み思案でユキ以外の他者とは積極的に触れ合わない。過去の経緯から自分の意見を主張することに怯えていたまゆは、友達の大切な時間を守るために自分が誰よりも先頭に立って戦うことを決意し、メエメエやニコ様に対して強く主張していたし、本作で誰よりもプリキュアの使命を重視し、ともすれば頑なな思考をする傾向にあったメエメエは、大親友の悟の幸せを願いまゆの意見を受け入れる柔軟さと、自らも前線に赴いて体を張る男気を見せてくれていた。
変化という意味では悟といろはの会話や思いの伝え方にも出ていました。今までは自分の本心が漏れ出ることを気にかけて、誤魔化すことが常だった悟が、今回はいろはに対して照れを交えながらもハッキリとした自分の好意を素直に伝えていましたし、感情表現がストレートだったいろはは逆に自分の思いや悟からの好意に戸惑いながらも、しっかりとそれを受け止めて仲良しの友達とは異なる特別な感情を向けてくれていた。
恋人関係には至ったものの、仲の良い友だちの延長線上の関係と言いますか。少なくとも本編中では特別な男女の仲というのをそこまで押し出さずに進行することも出来たと思うけど、それをなあなあのままで済ませるのではなく、前回に導き出した「特別なワンダフル」の感情にしっかりと向き合い、悟といろはの間で友達の時とは異なる二人だけの特別な感情を、しっかりと共有してくれたことが嬉しい。
悟がいろはに楽しんでもらう為に考えた本来のデートプランにしても、こむぎと大福が同伴することが当然と考えている。そんな彼の優しさに心温まりつつ。まゆやメエメエの気遣いや暴走など不確定な要素もありましたが、二人だけの特別な時間を満喫し最後に特別な呼称をするに至る。あの名前呼びは破壊力ありすぎるし色んな意味で反則です。いつまでも仲良しな二人でいて欲しい。
もはや視聴者代表と言っても過言ではない悟いろ限界ヲタクな猫屋敷まゆさん。今回も初っ端からフルスロットルで妄想が溢れてしまったり尊死してしまったり無言の圧をかけてしまったり等々。物静かで他人と積極的には関わらない初期の穏やかなイメージから、こんなベクトルの変化を遂げてしまったのだと改めて感じさせてくれる。存在感抜群な活躍を今回も見せてくれていました。
他のどんなときよりも饒舌でテンション高めなことが伝わってくるウキウキな姿が、やはりどうしてもネタ的な意味で注目されるし、この手のまゆを見ていて楽しいのは私も揺るぎない事実なのですが、今回はそこから更に一歩踏み込んで、二人の時間を守るために戦いの場に呼ばないで欲しいという旨を、力強くメエメエ達に伝えた姿が印象的でした。
あれだけ控え目で大人しくて自己主張に乏しかったまゆが、友達の為にここまで毅然とした姿を見せてくれるようになったことも感慨深いものがある。これからも陰に日向に悟といろはのことを見守りつつ、友達の為に頑張れるまゆちゃんでいてほしい。そして時折視聴者の代弁者となってくれたのなら言うことはないのです。
妄想度合いで言えばまゆのそれと大差はないのに、大親友の悟と自分のアバンチュールを夢見て都合の良い妄想を繰り広げるメエメエが中々にヤバい。その後、悟に羊の良さを刷り込むべく珍妙な格好をしてストーキング行為を敢行する等々。大福ちゃんとニコ様が諌めてくれなかったらどうなっていたことかと思える程の斜め上の行動っぷり。傍から見ている分には面白いが当事者からすれば堪ったものではないだろう。
それだけにマブダチにしてご主人の幸せを何よりも願っているだろう大福の牽制と、物理的な手段に訴えての抑止力も際立っていたかと思います。同様に大親友の幸せを願い体を張ったメエメエの献身っぷりな姿勢は、評価されてしかるべきものであったと。まぁここ数話くらいの行動があまりにアレすぎたので、自業自得な面も往々にしてあるのが困りものではあるのだが。
しかし、可愛らしい羊の格好をさせられようとも決めるべきところは決める。悟のことを思い彼の幸せを願って陰ながら支えてくれた素敵なマブダチと大親友の見せ場もあって良かった。
ここまで王道且つ直球のデートシーンを本編で見られるとは正直夢にも思ってなかったので、ラブコメの波動全開なシーンに魅せられてしまう。本編のまゆちゃんじゃないけどこんな破壊力のあるシーンを連発されてしまったら尊死してしまうのも無理からぬことというもので。年頃の少女そのものないろはの反応も可愛すぎたし照れはあっても自分の好意をハッキリ伝えられるようになった悟の男らしさも素敵で。
極めつけはラストシーンですよ。緊張してなかなか手を繋げないとか友達として長年の付き合いがある故に今更相手に対する呼称を改めるのが難しいといったね。ラブコメ少女漫画ではお約束にして見せ場でもある王道の要素を、この一瞬で二つも同時に達成してしまうとなれば。視聴者代表・猫屋敷まゆさんと同様に、昇天して果ててしまうのも自然の成り行きなのである。いつまでもお幸せに!