歌や踊り以外にもアリスピアを形作り盛り上げる大切な要素が確かにある。




バンド・スナッチの女装回という衝撃も冷めやらぬ中で迎えた本当の新展開。無事にプリンセスの三人も登場して一安心という冗談はさておくとして、今回の話は前回の話の中で触れられていたミューチカラを生み出す要素。歌や踊り以外にも価値のあるものは確かに存在しており、それを全て切り捨てるのは勿体ないという彼らが得た新たな知見を受けての内容になっていたと思います。
確かにミューチカラを最も強く生み出すのは女の子の歌や踊りであって、今のアリスピアにおいても歌や踊りが最も人気があって注目を集める要因となっていることは間違いない。でも、全ての女の子が歌や踊りに興味があるわけでは決してなく、またそれらに取り組むにしても得手不得手はあるし歌ったり踊ったり出来たとしても必ずしも注目を浴びたいと考えている子ばかりではない。
今回のゲストキャラであるハカセこと葉加瀬まなびは、まさにそれらを体現したようなキャラクター像であり、歌や踊りは好きだけども自分がそれをするのは苦手であり、それを補助する為に発明品作りに日々邁進するような子で。自分が注目される為ではなく、歌って踊れない代わりに発明で音楽の可能性を広げたい。それが巡り巡って他の子にも役立つものになりアリスピアがもっと楽しい場所になればと。
そういう風に考えて自分のやるべきことを見つけて取り組むことで充足感を得ている葉加瀬まなびがおり、直接的に表舞台に立たない子も色々な形で関わり合うことで、今のアリスピアはより楽しく音楽に満ちた空間となっている。きらびやかな舞台に立って舞い踊り綺麗な歌声を響かせる子に注目が集まりがちなのは致し方ないことかもしれないが、まなびのような子がいるからより可能性に満ちた空間が形成されている側面が確かにあるのだ。
そして、それは何も女の子だけに留まることではなく。最初の頃になっちのソロライブイベントや、かがりの大規模ライブを運営面で支えてくれていたのは他でもないアリスピアンの皆であり、女の子だけでなくアリスピアンもいるからこそ成り立っている今のアリスピアの形。そして、一口にアリスピアンと言ってもその在り方や考え方は人間の女の子と同様に一律のものではなく実に多種多様で。
お手伝いをすることに喜びや生き甲斐を見出す者もいれば、今回のナビーユのように自分が歌ったり踊ったりすることに興味を示すような者も存在する。前回のバンド・スナッチの仄めかしも含めて、アリスピアンの中にも女の子のように歌ったり踊ったりしてみたいと思う存在がいることは、後々に効いてきそうな要素のような気もしますが、それを除いたとしても彼らのような存在も合わせてのアリスピアなのだ。
前回からの流れを受けて歌と踊り以外でアリスピアに貢献する葉加瀬まなびのような存在や、女の子以外で歌と踊りに興味を示すナビーユの存在を示す描写の数々。ミューチカラを生み出しアリスピアを形作る複合的な要因を、今までとは異なる視点から描いていた回だったのかなと感じました。物語の大筋に関する一つの大きな流れを感じずにはいられない。
バンド・スナッチが歌や踊り以外のことを行う女の子に新たな可能性を見たように、プリンセスであるみなも達も色々な人や物事に触れる中で刺激を受けている。今回の葉加瀬まなびとの交流を経た上での次回のサブタイトル。どんな自分らしさが描かれることになるのか。楽しみです。




歌って踊る者には特訓がつきものであり、特訓と言えば謎めいた養成ギプス!ということでハカセが唐突に持ち出してきた大リーグボール養成ギプスならぬプリンセス養成ギプス。本家の方からしてその見た目の絶大なインパクトからネタ感は強いんだけど、なっちが装着してるギプスも割とリボンの結びだったりチューブ状の巻き付き具合が元ネタに忠実な作りをしてるのもあって妙なこだわりの強さを感じるのと共に面白さが増す。
これに関しては一過性のネタでしかないと思うんだけど、なっちに関してはいつか本当にプリンセスになってくれるのではという淡い期待を捨てきれないだけに。このプリンセス養成ギプスが功を奏すかどうかは置いておくとしてもハカセの発明や他の要因と合わさってその日が来たら良いなと個人的には期待していたりする。