ひまりとみつきのアイプリを通し思いを届けることの大切さを知る。
ひまりが格好の口実を与えてしまったことで、結果として施行されたヴィクトリア学園長によりアイプリ禁止令。建前としては教育者として真っ当なことを主張しつつ、頑なにアイプリを否定しようとするスタンス。そこには多分に私情が含まれているであろうことは容易に想像が出来ましたが、思っていたより早くヴィクトリアの過去の経緯と、そこに端を発する複雑な心境が描かれることになりました。
過去のある一件から序盤で禁止令を発令し、今を生き楽しむ子どもたちからそれを奪い取る。この流れはプリパラの大神田グロリアが行ったことに類似してますし、かつて心を許した友達との間に生じたとあるキッカケによって心を閉ざしたところも似通っている。ただ、グロリアとらぁらの母親ひめかのそれが、互いの行動によるすれ違いと環境要因に端を発していたものだったのに対し、ヴィクトリアは自分ひとりでこの状況を生み出してしまったところが異なっている。
かつてパトリシアと共にデュオアイプリとして活動したバイカラ・ローズ。しかし、パトリシアが無理をして喉を痛めたことを機に、理想を叶えられないのならと一方的にデュオ解散を決め、パートナーだったパトリシアの思いを汲み向き合おうとしなかったのがヴィクトリアである。会おうとしても会えずにすれ違ったプリパラの二人とは異なり、ヴィクトリは相方との対話すら放棄し自ら目を背けてしまったのである。
酸いも甘いも噛み分けることで人は心だけでなく人生も豊かなものとして彩られるもの。楽なことばかりではないし思い通りにいかないこともある。辛さや苦しさ、逆境を跳ね除けることで得られる価値観や強さもある。それがあるからこそ人は強く逞しく魅力的な人間として成長していけるのではなかろうかとね。そして、それはアイプリにも通ずることではなかろうか。
塩レモンケーキを用いて互いを思い合うことの大切さを。異なるものが交わるからより引き立つ魅力や特性があることを示してくれたパトリシアでしたが、それをヒントにしバズリウムチェンジに必要な要因は何かを見出し、自分たちがライブに込めるものは何かを対話を通し思いを重ねることで、可能性を切り開いていったひまりとみつきの今の在り方は、かつてのバイカラ・ローズに求められたものでもあったのだ。
あの当時にヴィクトリアが最初に目指した理想以外の道筋を。喉を痛めたパトリシアとそれでも対話をし思いを重ねていたならば。違った形の新たな理想が見つかり全く違うものになっていたかもしれない。良くも悪くも今のバイカラ・ローズに影響を受けたひまりとみつきが、その二人に友達と思いを重ねることで開けるアイプリの可能性を示して見せたことは、それ故に大変意義深い。
これはヴィクトリアの為のアイプリというパトリシアの言葉は、まさに今回の内容を端的に表したものでもあっただろう。わだかまりが解けた後は、全力で後押ししてくれるようになるところもグロリアと共通してるところかもですが、ひまりとみつきが力を合わせて示した可能性によって、大きな影響を受けて変わった人がいるという事実。最後のツムギも含めてだけどアイプリが持つ力と可能性。
人生をより彩り豊かなものにする為に必要なことを描くにあたり、アイプリの要素を絡めた構成だったのかなと思いました。ヴィクトリアの「全てを懸けるなど軽々しく言ってはならない」等の台詞も、色んな経験をしてきた年長者としての重みを感じさせるトーンになっていたりして、随所で見どころのある回でした。
ひまりとみつきの初めてのデュオライブ！主人公デュオだからこその王道を征くステージ演出と楽曲のイメージ。二人だから出来ること。二人だから叶えていける夢。未来に対する希望や期待。ヴィクトリアに訴えかけたい強い思いを。あの時の彼女に必要だったことを、これでもかというくらい見せつけてくれる。軽快でポップなメロディラインが弾むような心持ちの二人の心情を雄弁に物語ってくれている。
二人の新曲『ムテキDUOエナジー』の曲名に相応しいデュオライブに仕上がっていた。個人的にも現状のアイプリ楽曲の中では一番好きかなという印象を抱きました。まだ序盤もいいところだけどやっぱり好みの楽曲が出てくるだけで俄然盛り上がってしまうところはあるので。
初登場時から挨拶する時に仰々しいポーズを取っていたヴィクトリア学園長。そのポーズが単なるキャラ付けの為だけではなく、青春時代に全てを懸けてもいいと思っていた大切な「ハイカラ・ローズ」に起因するものだったことが分かって自分はこういうのに弱いなと改めて思わされた次第です。リアタイ視聴の時はパトリシアもいいこと言ってるけどポーズが面白くて発言内容が頭に入ってこないとか思ってたのですが。
二人の経緯や当時の思い出。今も二人が互いにそれを大切に思っていることが分かった今となってはね。こういうの本当いいよなと。
