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わんだふるぷりきゅあ! 第27話 「ツチノコに会いた~い!」 感想

わんだふるぷりきゅあ! 第27話 「ツチノコに会いた~い!」 感想

未知の生物ツチノコに対する各々の反応や向き合い方が興味深い。

令和の子どもたちにもツチノコの概念を伝えていく探索回。かつては一世を風靡したこともある未確認生物に対する興味や盛り上がり。未知な物事や生物に対峙した時に芽生える興奮。なんでもインターネットで瞬時に調べられて、ありとあらゆる情報が即時的に拡散し共有される時代になったからこそ、未知に遭遇する機会も減少したし、そういった物事に思いを馳せる喜びや楽しさと言いますか。

実際にあるかどうかではなく浪漫を感じられる事象に巡り合うことも減ってしまった昨今の世相。故にツチノコに対して興味が尽きない悟の純粋な興奮具合に目を奪われるし、いるかどうかは定かではないけど出会えたら友達になりたいと思いを馳せるいろはとこむぎの夢を膨らませる姿に安堵してしまうのです。なんでも詳らかにすればいいわけではなく、知らないからこそ興味は尽きないし心が沸き立つこともあるのだ。

そこへいくと猫の本能や全体的な傾向として、ヘビが苦手であるユキの反応は、既知の情報の蓄積に当てられたものではあるが、いろはや悟とは反対にツチノコに対する彼女の反応は、未知のものに対する畏怖や忌避感を示すものにもなっており、未確認生物に対する色々な反応やアプローチを表すのに一役買ってくれていたと思います。未知とは好奇心をくすぐるものでもあり、同時に恐怖心を呼び起こすものでもあると。

心霊的なものや未確認生物が、いつの時代も人の心を惹き付け、虜にするのもそういった側面があるからなのだろう。現代では上述したようにそういう感情を呼び起こされることも稀になったかもしれないが、それでも人々はいつだって好奇心を掻き立てられるような事象を。ワクワクするような未知の何かを求めてやまない心を持っている。それこそが人間の性と言っても差し支えはないだろう。

いつもは沈着冷静な悟が、珍しく感情を顕にして反射的な行動を見せてくれていたのも新鮮でしたし、少しずつ当初のクールでお澄ましな佇まいが崩れつつあるユキが、ここに来て更に苦手なものや未知の事象に触れる過程で、驚愕したり遠ざかろうとするコミカルな一面を見せてくれいたことが楽しかったです。それでも大事な人の危機に際し、本能的な恐怖や苦手意識に抗い立ち向かった所は美しく高潔で流石の一言。

ともあれ主要キャラの様々な一面を新たに垣間見ることが出来たひと夏の思い出。見間違え説とかヘビが鼠などを丸呑みした姿を誤認した説等々。ツチノコに対する俗説を物語の中に取り込みつつ、最後はニコガーデン由来のそれではなくアニマルタウンに潜む本物のツチノコをユキが見た…というホラーのお約束なオチを付けて終わるところも夏の風物詩的な雰囲気が出ていて良かったです。

いつもは沈着冷静で感情的になることも少ない我らが悟くん。その彼が誰よりも装備をガチガチに固めた状態で事に当たり、ニコガーデンにはツチノコがいると知った時にはメエメエを振り回す勢いで確認を取り、ツチノコを見つけたと知らせが入った時も我を忘れる感じで盛り上がる等々。いつもの悟の印象を覆す程の年相応の少年めいたはしゃぎっぷりが印象的でした。こういう姿もまた良いもの。

そんなワクワクとドキドキでいっぱいの悟とは対照的に、未知の生物や苦手なヘビに対して、違う意味でドキドキしっぱなしのユキの慌てっぷりや、こむぎやいろはにすら平静を保てていないことを悟られる右往左往する姿が愛らしく微笑ましいものでもありました。最近は少しずついろんな姿を見せてくれるようになったユキだけど、強がったり叫んだりする姿もまた可愛らしく素晴らしい。

強く頼もしい存在としてまゆを見守り支える側のイメージから、まゆもユキのことを見守り支えとなっている。そんな相互に作用し合う猫組の関係性を改めて感じたところです。

今回のツチノコ大捜索大会を企画したアニマルタウンの鷲尾町長。プリキュアの生みの親である鷲尾天プロデューサーと同じ苗字を冠し、声が高木渉さんで実質ブンビーさんという何とも贅沢な要素を併せ持つ素敵で無敵な町長さん。お二人ともに残した功績は数知れず。ある意味で伝説的な存在でもありますので。未確認生物ツチノコとはまた別の意味での生きる伝説を体現した存在。何とも奇妙な縁を感じる一幕でした。