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トロピカル~ジュ!プリキュア 第16話 「魔女の罠!囚われたローラ!」 感想

トロピカル~ジュ!プリキュア 第16話 「魔女の罠!囚われたローラ!」 感想

ローラの中で静かに、確実に揺れ動く複雑な感情。

人魚として過ごすだけでは決して得られなかった人間社会の刺激や山での経験。実際に触れてみて初めて興味が湧くことも往々にしてあるもので、知れば知るほどに好奇心が抑えきれなくなることもままあるものです。トロピカル部の面々との交流を重ね、人間自身や人間社会への興味や欲求を自分でも気づかぬ内に次第に膨らませるローラの心境変化と、人魚姫のテーマや筋書きを交えて進む話運びが凄く良いですね。

錬金術師の等価交換の原則じゃないけど、みのりん先輩が言ったように人は何かを得るためには同等の代価を支払う必要があるのも世の常。自分の何かを犠牲にして見下していたはずの人間になりたいなんてあり得ないというのがローラのスタンスであるが、自己の欲求の為ではなく交流を重ねて大切な存在となっている仲間の危機を救うためにあえて…という道筋も見えて最後のあとまわしの魔女様の甘言と合わせてローラの選択に期待も高まる。

またローラのみならず今回はまなつ達の人魚側に対する理解や興味に触れられていたのも印象的でした。思春期の大切な時間を少なからずプリキュアとしての活動に割いているまなつ達にとっても本人たちの意識は別として何かを犠牲にしている点は当てはまるし、ローラを連れ去られたことによって自分たちがローラのこと、ひいてはグランオーシャンや人にとっては未踏の領域である海の世界に思いを馳せる展開になっていた。

人間の世界に来て様々なものに触れたローラが、今仲間の危機を前に海の世界に飛び込み人魚の世界に初めて触れようとするまなつたちが。それぞれの世界や文化に触れ互いに対する理解を深め、その上で人間や人魚という種族差を超え一つのところで繋がるときに。プリキュアという実態で以て真に仲間として繋がり一つになる奇跡が生じるのではないかと。そう思えた次第です。

今回はアンニュイなローラだったり良いところに目を付けたあとまわしの魔女勢だったり。ローラに対して気を配るみのりん先輩を筆頭に、人間サイドであるまなつ達の信条描写というか心の機微、その変化を優しいタッチで繊細に描き出していたのではないかと思います。本領発揮となる次回へ向けての下準備の回でもありましたが、単体で見ても非常に緻密さを感じさせる深い回でもあったんじゃないかな。

他の植物を寄せ付けないような高山で孤高に美しく咲くコマクサの花言葉は高嶺の花、誇り、気高い心。女王の名を関するその植物も、薬草として用いられる一方で身体に様々な症状を引き起こす毒素の性質を備える花でもある。その性格や思考から特に初期ではトラブルを引き起こす毒をもたらす存在になるのではと危惧した彼女が人に寄り添う姿勢を見せた時、どんな変化が生じまなつ達に何をもたらしてくれるのか刮目して相待ちたいと思いまする。いよいよ次回!キュアラメール誕生の瞬間が今から楽しみ!

今回いつも以上にデフォルメ作画が印象的で可愛いシーンが多くて目を奪われる。特にお弁当やアイスをもぐもぐしている時のみのりん先輩といったら…反則ですな!