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キラッとプリ☆チャン 第152話 「みんな集まれ!未来のプリ☆チャン守るッチュ!」 感想

キラッとプリ☆チャン 第152話 「みんな集まれ!未来のプリ☆チャン守るッチュ!」 感想

リアルとバーチャルの垣根を超えて繋がる力が生み出す奇跡!

いや~、濃密で情報量の波に圧倒されてしまった最終回ではないんだけど実質的に最終回と言っても差し支えない大団円の内容に感無量なのである。ソルルナの出自と二人が背負っていた使命。現実と仮想が交わることで開かれた可能性の扉と生まれた新たなる光。やってみなくちゃわからない!わからなかったらやってみよう!のテーマを踏襲し、この先の未来への展望を指し示す幕引き。

三年に渡るプリチャンの物語で描いてきたこと。各シーズンのテーマも密接に絡めながら集大成の場であるステージで、それらすべてを回収し各キャラの成長した姿を存分に発揮させている話運びに舌を巻くしかない。地球規模の危機をもたらしたバグホールの扱いにしても、プリチャンアイドルの輝きが増したからこそ驚異を増し引き付けたという設定も興味深いものがありました。

光が強く当たっているところでは、影は濃く出る。ゲーテの有名な格言ですが、女児アニメでもあるプリチャンにおいてあまり触れない陰の部分というか功罪の罪の部分というか。光あるところに影がある。みらい達トッププリチャンアイドルが多くの人の目に触れ輝かしいステージの上で華々しく活躍する一方で、スポットライトの当たらない者たちが存在するのも必然なのである。

宇宙の何処から訪れた天災のようなバグホールは、直接的に表現が難しい影の部分を担う役割だったと捉えることも出来るのかもしれません。プリパラにおいては出来ない子達の負の概念の蓄積から誕生したガァルルもいましたが、本作におけるバグホールはそんな負の側面を体現する概念的な存在だったのではないかと個人的には思った次第です。

光と影は表裏一体。シーズン3では保護者的な立ち位置でもあったソルルナの二人が、今後ますますプリチャンアイドルが光り輝いていく未来を予感しつつ、反面それに比例して強さを増すバグホールの再来に備えて自らを盾とする選択をしたのも、そういった物語的な側面や配信を題材にした本作だからこそだったのではないかと。直接は見えにくい悪意や負の感情。

最後にそういった負の側面をこういう形で描き、バグホールと向き合った上でそれを乗り越え、未来へ進む力を得たプリチャンアイドル達の繋がりと強さを重くなりすぎない範囲で描き出していのが巧いなと。コミカルな描写を交え楽しさは損なわせずに、配信側であるプリチャンアイドルがぶつかる負の一面を、こうして最後の最後に持ってきたのは見事でしたなぁ。

子供たちを庇護してきたソルルナは直接干渉はしない皆を守る概念的な盾となり、これからは自分たちの意思と力で未来に向かって道を切り開いていかなければならない。その中でみらい達プリチャンアイドルが最後にどんな新しい可能性と夢や希望に溢れる未来を見せてくれるのか。長きに渡るプリチャンの物語もいよいよ次回で完結!最終回となるプリチャンをしっかり見届けていきたい!

各シーズン毎のラストライブも度肝を抜かれてきたけど、今回のライブパートはまさにプリチャン全体を締めくくるに相応しい圧巻のシーンでした。プリティーシリーズ全体として見ても、劇場版を含めて見ても、これだけの人数の同時ライブは過去最多なんじゃないかなと。プリマ☆ドンナ?メモリアル!の時とは別の意味で万感の思いがこみ上げてくる。

まさにプリチャンを通じて出会い競い合い高め合ってきた者たちの集大成。友達でライバルで仲間でもある皆が紡ぎ繋いできた友情と、彼女らが育んできた力強さを存分に感じ取ることが出来るライブでした。途中でアイランジュ、らぁゆい、おしゃまが参戦してきたところなんかはリアルで声を出してしまったし、盛り上がりも最高潮に達してしまったのです。

ただでさえイルミナージュコーデのCGは化物クオリティなのに、加えてここまで揃い踏みとなると壮観に過ぎるというもので贅沢の極み。最後に地球がキラッチュ型に輝いたのはご愛嬌というところだが、ここまでのものを見せられたらね。プリチャンアイドルの輝きと圧で浄化という説得力も伴おうというものだ。うむ、語彙力がないからアレなんだけど素晴らしいの一言に尽きる。

挿入歌として用いられた「ドリーミング☆チャンネル!」もキャストのクレジット一覧が凄いことになっていてね。まさにプリチャンを通じて繋がった皆の心が一つになった瞬間を表すのに相応しいステージだったと改めて感じるのです。映画ではなくテレビシリーズでこれは本当に凄いし何度でも見たくなる。

ソルルナは皆を守るお空の盾になったのだ…。ようやくアリスとイブと本当の意味で通じ合い、イブとルルナに至っては仲直りできたと思ったのも束の間。こういう形でお別れとなってしまうことに一抹の寂しさを感じずにはいられない。もちろん双方共に最後は前向きな気持を持って未来を見据えていたのだけどそれでもね。浄化されてしおらしい照れルルナをもっと見たかった思いもあるのですよ。

ただ、プリチャンをプリティーシリーズに連なる一角として。そして、ソルルナの二人を上位存在として見てみると今回の最後のお別れも意義深いものとして映るのではないかとも思います。厳密に言えばソルルナの二人はプリズムの使者ではないのかもしれない。ただ、他のマスコットと異なる特別な存在で、バーチャル世界からリアルにやってきた始まりの存在であることは今回語られた通りである。

シリーズの中でも特にレインボーライブ以降、最終回で上位存在である者たちとのお別れは折に触れて描かれてきたし焦点にもなっている。またプリズムの使者の役割と、各プリズムワールドの住人(本作で言えばプリチャン世界のみらいたち人間)が果たすべきことを思うと、ソルルナとの別離はある意味において必然だったと言えるのかもしれませんね。

プリズムの使者の役割はプリズムの煌めきの伝導にあり、ざっくり言えば各プリズムワールドの住人を導き各競技や種目の普及に務め可能性を広げつつレベルの向上に貢献すること。プリズムワールドの住人の果たすべきことは、最終的に導き手にして上位存在であるプリズムの使者を超えて、自分たちだけの力で独り立ちし新たな可能性を切り開き未来へ向かって歩み出すことにある。

それを踏まえると今回ソルルナですら対処出来なかったバグホールを、この世界に住むプリチャンアイドルとこの世界由来のマスコットの力を結集し(最終的にソルルナもライブには加わったが)、退けたことで彼女らは一定のラインに達しソルルナはその使命を全うしたと取ることも出来る。故に最後は安心して皆にすべてを託して身体を捨て盾となる決断が出来たのではないかと。

繰り返しになるけど厳密に言えば二人はプリズムの使者と完全に同じとは言えないかもしれない。ただ、本作をシリーズに連なる一作として見ると、今回の結末や話の中にプリティーシリーズの根底にあるものや流れを見出すことが出来る内容になっていたんじゃないかと。次回は作中時間が少し経過した内容になるようだが、ジュリィのように直接会えずとも皆がその存在を感じ取れるようなね。そんな描写があったらいいなと思わずにはいられない。