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ミュークルドリーミー 第46話 「女王さまと女王様」 感想

ミュークルドリーミー 第46話 「女王さまと女王様」 感想

たくわんじゃなくてたくんだから!(超重要)

明かされる舞台裏の姉妹事情!すれ違う女王様たちの悲しき物語

お空の上の女王さまと悪夢の女王様の姉妹関係。すべての始まりに繋がる悪夢の女王様が闇堕ちするまでの経緯。そして、何故悪夢の女王様が杉山先輩に目を付け取り込もうとしたのか等々。今作の根幹にして舞台裏に纏わる事情が一気に開示され、やりようによってはいくらでも重くシリアスに出来そうな要素に満ちているのだが、それでもコメディ路線は維持しつつ見せるとこはしっかり見せてくるから凄い。

このギャグとシリアスの絶妙な塩梅がミュークルドリーミーの肝であることを改めて痛感させられる。女王さまと女王様の溝を決定的にしたたくあんの一件にしても、人によってはしょうもない理由と思うところなのだが、当人にとっては絶対に譲れない大切なこと。他の人からしたらそうでもないことも、その人にとっては人生を左右するほどの重大事なことも世の中にはままあるものです。

本作のギャグとシリアスの塩梅にしてもそうなんだけど、人によっては笑って済ませられることとそうでないことがあることを作風に反映したものでは…というのは流石にこじつけが過ぎるだろうか。ともあれ人によってはくだらないと済ませる事案を重大事と捉える人を真に理解出来るのは、同じくそれを重く受け止められる人物しかいない。

故に悪夢の女王様が似た境遇を持つ杉山先輩に共感し、目を付け引き入れようとしたのも自明の理なのだろう。見方によっては彼女なりの優しさであり一種の救済でもあるわけだ。妹や弟に対する羨望と嫉妬が入り混じった複雑な感情。そこに起因した悩みを理解し共有できるのは、同じくそれを持つ者であり真に気持ちを理解出来るのも同じ境遇を持つ者のみ。

家族だから話し合えば分かり合えるというゆめの主張が、杉山先輩に響かないのも全てはそこだよね。兄弟姉妹間の問題は時として親ですら入り込めない。まして一人っ子であるゆめに全てを理解することは難しく叶わない。だからこそここから主人公としてゆめがどう向き合い解決への糸口を探るのかが見ものだし、実際の兄弟姉妹のように育ってきた幼馴染の百合先輩の存在が鍵になるのだなと。

自分を苛み続ける辛く苦しい気持ちや悲しい記憶などない方がいい。全ては泡沫の夢の如く消えてしまえば楽になれると言わんばかりの強硬手段に打って出た悪夢の女王様陣営ですが、まいらや百合を筆頭に辛く苦しいことがあっても受け止めて前を向いている子達が確かにいる。本作が一年かけて描いてきた全ての要素が集約されそうな展開だけに、最後どうやって締めるのか本当に楽しみでなりません。

基本はギャグ路線で緩い雰囲気だけど決して中だるみはしない。テーマに基づき描くべきところはしっかり描き、訴えかけるべきところはしっかり訴えかけている。そんなミュークルドリーミーがやっぱり大好き。そんな本作の一年目の集大成をしっかり見届けたい。

まさかの伏線回収!?朝陽とれいのユメシンクロ!

主人公のゆめにだけ許された特権かと思いきや、ここに来て朝陽のユメシンクロを実現してくれるなんて。かねてからの願望を現実のものにしてくれる。ミュークルドリーミーは流石だぜ!上で一人っ子のゆめには分からないこともあると書いたが、ほぼ兄妹のように生まれ育った朝陽がゆめの足りないところを補うという構図は王道だし、このためにあった幼馴染関係と言っても過言ではないのかもしれない。南川朝陽という男はやはり本作に不可欠の存在なのだ。

あとプリンスストーンの回収に関してはね。ゆめパパの石マニアの設定と石集斎先生に纏わるエピソードを複数回に渡って展開してたのも、全てはこの時の為の伏線だったのだなと感心してしまった。どう考えてもネタ要素でしかないと思ってたのに、ここ一番で機能する設定として活きてくるなんて夢にも思わなかったもの。人生何が役立つか分からないものだということをしみじみ実感する。

たくあんに対する悪夢の女王様の熱き思い

上では色々真面目に書いたけどね。それまでに色々積み重なっていたとは言え、視聴者目線で見るとたくあんの一件で妹との決別が決定的となり、国を去ることを決めた悪夢の女王様が面白いことは否めない。自分がいなくなった後に皆がもっとハッピーになっているのが寂しく悲しくて、半ば拗ねるように悪夢の女王様と化しちゃう可愛らしさと言ったらもう。面倒くさいとか言わない!

妹に憧れていたという台詞に象徴されているように、本来はきっとお空の上の女王さまのように茶目っ気たっぷりで優しく可愛らしい人だったのだろうなぁと思うと印象も変わってくる。杉山先輩に対しても彼の境遇に共感して引き入れたところのほうが大きそうですし。眠らせた杉山先輩に布団かけてあげるところなどに女王様の本質的な優しさが見え隠れしている気がする。

しかし、女王様のたくあんに対する情熱と思い入れたるやね。あれだけこだわりを持っているのに自家製のたくあんを無断で焼却処分されたらそりゃ悪気がなかったとしても怒りますわ。本編であれだけたくあんであることを強調してたのに、最後の占いコーナーでねねちゃんがたくわん呼びしてくるところにも世の無常さを感じずにはいられない。公式まで女王様に厳しい!