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ミュークルドリーミー 第38話 「みゅーちゃんを離さない!」 感想

ミュークルドリーミー 第38話 「みゅーちゃんを離さない!」 感想

悩みを打ち明けられる相手や環境があることの有り難み。

何でも一人で抱え込まず悩みを共有することで開ける道もある

能力があって責任感も強く周りに頼られる人ほど、次第に誰かに頼ったり相談することが出来なくなり、自分ひとりで何とか解決しようと内に抱え込む傾向ってあると思います。誰かに頼るのが嫌とかいうのではなく、それをすることで周りに負担を掛けるくらいなら、自分の出来る範囲でギリギリのところまで頑張ろうと考えてしまうのが、責任感が強く真面目な人が陥りがちな傾向ではないでしょうか。

それは美徳とも言えるかもしれないが、時に抜け出せない悪循環を生み出しかねません。頼られるのが当たり前、周りも頼ってしまうのが当たり前。それが常態化し一度そういう環境が出来上がってしまったら、容易に抜け出すことは難しい。今回の主役だったチア部の部長・結衣先輩や初回のゆめちゃんママ、杉山先輩なんかはこの傾向にモロに当てはまる本作の代表格と言えるのだろう。

結衣先輩にしてもゆめちゃんママにしてもブラックアビス騒動を機に一度爆発し、周囲が負担を掛けていた事実を知ることで、その環境が改善する兆しを得られたし、当人も悩みを打ち明けたり相談することの重要性を痛感していましたが、それが叶わなかったのが杉山仮面と化した杉山先輩の置かれた境遇だもんね。故に今回のテーマは杉山先輩に必要なことを示唆していた回でもあったと思います。

長年に渡り蓄積された鬱屈とした感情。自分に優しく接してくれる家族や幼馴染がいるからこそ、その感情を発露することが許されない環境の形成。一人で抱え込まず助け合うことの重要性を学び、現状を打破するキッカケを得たゆめや結衣部長とは対照的に、身を案じてくれる百合先輩に何も言えず結局一人で全てを抱え込んでしまう杉山先輩の姿は、なんとも物悲しく切ないものがありました。

杉山先輩が抱えているのはデリケートな家族問題。簡単に他人が割って入れないし、今回のケースとは事情が異なっている面もある。でも、彼が内に抱えている闇を払拭し抜け出す為に必要なことは、やはり悩みを共有し受け止めてくれる存在なんじゃないかなと改めて実感出来た回でした。それが百合先輩なのかゆに様たちなのかは分からないが、悩めるおやびんに対する別方面からのアプローとという意味でも興味深い回でした。

ここ暫く悩んでいたゆめも気持ちに一応の区切りは付いたようですし、その点に関しては良かったのです。やっぱり明るく前向きでいてこその主人公!間違っても使命を放棄したりブラックアビスに憑かれた人を見て見ぬ振りなど出来ません。弱ったゆめちゃんに対してしっかりと支えになってあげていたみゅーちゃん。今回は凄い真っ当にパートナーしてたね!

夢の中でも積極的に介入し始めるスーパーおやびん杉山仮面の暗躍

弱っていたゆめの心の隙間につけ込もうとして失敗した杉山仮面の狙いは悪くなかったお思うんだよね。タイミングが絶妙に悪かったというだけでね。今一歩のところでゆめちゃんが復活して事なきを得ましたが、杉山先輩もせっかく夢の中まで出張ってきたのに結局なにも出来ず、不敵な笑みを浮かべただけで撤退したので、ゆめちゃん目線からしたら本当に何しに来たのか分からない怪しげな謎の存在としか映らないだろう。

意気揚々と乗り込んできて三日月型のステッキを構えたのに、「フッ」と言っただけで帰っていった杉山仮面のシュール具合が妙にツボに入ってしまい面白かったという話。訝しげに彼が去った方向を見つめるゆめちゃんの真面目な表情がじわじわくる。そりゃそういう反応になるよね。スーパーおやびん登場時の迫真の3カメ演出もズルい。