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ミュークルドリーミー 第36話 「年末年始はみんなでハッピー!」 感想

ミュークルドリーミー 第36話 「年末年始はみんなでハッピー!」 感想

他の人の為に頑張る全ての人たちが報われますよう。

誰かの楽しい時間の為に頑張ってくれる人たちへの感謝の気持ち!

自分の為ではなく大切な人の幸せを星に願った前回と同様に、今回も年末年始のイベントを通じて他の人の幸せな時間の為に裏で頑張る人がいること。その人達への感謝の気持ちを忘れず、またその為に頑張る人たちが報われる尊さをしっかりと描いてくれているのが素敵だし、夢を通じて家族愛を感じさせてくれる本作の優しさ溢れる作風の心地よさに年始から満たされてしまうのです。

ゆめの台詞にもあったようにクリスマスやお正月を皆が楽しめるのも、その楽しい時間の為に頑張って働いてくれる人がいるからこそ。私達が当然のように享受しているものは、誰かの頑張りや他の人の幸せを願う人の気持ちがあればこそ成立するものです。当たり前は当たり前ではない。本作で度々考えさせられる概念でもありますが、今回もイチゴパティスリーの兄妹、勇気くんと亜衣ちゃんを通じてそれは描かれていました。

皆が家族で楽しめるクリスマスの日も洋菓子店の子にとってはそうではない。他の人の為に頑張る両親の手前それを表立っては言えないけど、その鬱屈とした感情を夢の中で素直に表現し、その上で両親のことを思い労ってあげられる二人が良い子すぎたし、夢の中とは言え家族での楽しい時間を過ごし、女王様にお城に招待される形で二人の気持ちが報われていたのも良かった。

仮に現実世界で発散してしまえば皆の幸せを願う両親の気持ちを蔑ろにすることになるし、夢の使い方が本当に巧みよね。そして、他の人の幸せを願って頑張っていたのは両親だけではない。その両親の気持ちを汲み手伝いを申し出た勇気と亜衣の両親を思う気持ちがあればこそ、今回のお話は成立している。家族愛に絡めた「当然ではない当然」に対するアプローチ。本作はそのあたり秀逸だと改めて思えた。

友達、恋人、家族。関係性はそれぞれ違えども大切な人たちと共に過ごす時間の有り難み。それが如何に多くの人の頑張りや願いから生じる奇跡の時間であるかを描いていたからこそ、一見幸せそうでいてどこか歪さを感じさせる杉山家の一幕や、最後にそう遠くないうちに訪れるかもしれない別れを仄めかした、ゆめとみゅーちゃんのシーンも引き立つのだと思います。

皆と一緒にいられる楽しくも騒がしい時間。いつまでも続くように思える今の状況。それも決して当たり前のものではないのです。だからこそその尊き時間を噛みしめるのと同時に、当たり前ではない今を目一杯楽しく幸せに過ごせるように大事にすべきこと。相手のことを思いやる気持ちの重要性も増すのではなかろうかと。そう思えが今回のお話なのでした。いや~新年一発目からいいお話見せてくれて満たされたよ!

惜しむらくはコロナで年間スケジュールがズレなければクリスマスとお正月をそれぞれ単独のエピソードとして楽しめていたかもしれないことくらいだろうか。元々この予定だった可能性もあるんだけど、ゆめちゃんが勇気くんと亜衣ちゃんと出会った運動会の顛末も、本来なら秋くらいにやっていた話だったんじゃないかと思うと悔やんでも悔やみきれないぜ!お空の上の女王様の台詞を借りるけど「新しい年がどうか素敵な夢でいっぱいの年になりますように!」と願わずにはいられないのだ。

存在を仄めかされる杉山先輩の弟の行方

楽しいクリスマスの中でようやく具体的に触れられ始めた杉山先輩の兄弟周りの事情。もしかしたら引きこもっているのかとも思ったけど、両親や杉山先輩の話からするに今は海外生活してるということなのか。これまで不自然なくらいに両親が弟のことに触れなかったのもあって妄想が膨らむばかりだったけど、いよいよ本格的に杉山先輩の内面に踏み込んでいきそうで楽しみである。

今回勇気くんと亜衣ちゃんの兄妹が仲睦まじい姿を見た後なだけに、今の杉山兄弟の関係性がどんな感じなのかを知るのかは怖くもあるけども。それだけにやはりゆに様たちの存在が鍵だし癒やしなのです。今回もおやびんとのやり取りが本当に健気すぎるもの。今の杉山先輩が安らぎを感じてるのってこの時間だけにしか見えないんだもの。

女王様の介入で封印された感情も外れかかってるぽいけど、それだけに杉山先輩がゆに達に見せる優しさは本来の彼が持つ素直な気持ちの表れであることが分かったのも嬉しかったし安心したよ。出会いは特殊で今の関係も様々な利害や思惑が絡み合った歪さの上に成立しているものかもしれない。でも、この当たり前じゃない一時を共有する皆が幸せになることを願わずにはいられないのだ。